海外の葬送(散骨) 前編

投稿日: 2020年10月20日 PM 7:14

日本は火葬率99%で実は世界で一番火葬の多い国なのです。
では他の国ではどうなのでしょうか?
今回は海外の葬送(散骨)についてみていきたいと思います。

葬送の違いは宗教観の違い

各国の葬送にはその国の宗教観が大きく影響しています。

欧米・イスラム圏

先に少し触れましたが、欧米では土葬がいまだに主流というのは、キリスト教が主となる宗教であり、キリスト教は復活を信じているので火葬にせず土葬するのが基本だからです。

ただ、最近ではアメリカやイギリスでも火葬が増えてきています。都市部は土地が限られたり、火葬のほうが費用を抑えられたりの事情が背景にあるようです。

またアメリカでは、火葬を行った後ご遺骨を粉砕機で粉骨化したのちに、容器に入れて引き渡されるのが通例となっており、家族の手に渡されたご遺骨(粉骨)は、ペンダントなどの手元供養にしたり、思い出の場所や海や川等に散骨する人もいます。

イギリスでは遺族などに遺骨・遺灰の引取義務はなく、引き取られない遺灰が多数で、まとめて散灰用の芝生に撒布されたり埋葬されたりするとのことです。遺族が持ち帰ることも少数ですがあるそうです。その場合、撒く場所の制限はとくにはなく川に散骨することもあるようです。

キリスト教以外の宗教ではどうでしょう。

ユダヤ教はキリスト教の元となった宗教です。イスラム教はユダヤ教やキリスト教から影響を受けた唯一神教で、この3つの宗教は兄弟宗教なのです。ユダヤ教、イスラム教とも土葬ですが、殊にイスラム教は例外なく土葬します。

インド

キリスト教が復活を信じて土葬にするのに対し、仏教は輪廻転生を信じるものなので火葬になります。

インドで発祥した仏教、ヒンズー教、ジャイナ教、シーク教はすべて火葬です。諸行無常、生者必滅、輪廻を説いた仏陀は死後、クシナガラの荼毘塚で火葬されました。

ヒンドゥー教徒の多いインドではガンジス川は「聖なる川」と信仰されており、この川に遺灰を流せば(散骨)苦しい輪廻から解放されて悟りにつながると信じられています。

ガンジス川の川岸には火葬場があり、薪で焼いた死者の遺灰をガンジス川に流すのです。

遺灰をすべて川に流すので、お墓はありません。

ゾロアスター教徒は鳥葬される場合が多いそうです。

ゾロアスター教では死体は悪魔の住処とされ、葬式は悪魔による汚濁の源を浄化するための儀礼でした。 善神の象徴として火を崇拝するゾロアスター教では、死体が火を穢すことになるため、火葬を行わず、同様の理由で土葬や水葬も行いません。

※チベットでも鳥葬が行われますが、チベット仏教は人生最後の施しである自らの身体を鳥(ハゲワシ)に与えることで最後の徳を積み、鳥とともに大空へ羽ばたいて天界へ帰っていくと思われています。

中国

中国は2000年の間 儒教という宗教を通して先祖崇拝を続けてきました。祖先の墓を立派にすることが生きている者に繁栄と幸福をもたらすと信じており、土葬が基本です。

共和国成立後、そうした信仰が批判され、故毛東沢主席は国民に火葬を提唱しましたが、長年つちかった土葬の信仰は根深く、火葬率は30%(90年)となかなか上がりませんでした。

しかし近年都市部では人口増加が深刻な問題で、土地が限られるため火葬が増えており、北京や上海などの大都市では散骨を奨励していて、年に数回長江沖で散骨が行われています。

特に興味深いのはお隣の韓国です。

その歴史に伴い「葬送の文化」も変化を遂げてきました。最近は「ダイナミック・コリア」のスローガンのもと、世界でもまれな急激な変化をとげています。その韓国のお話は次回。

海洋散骨の蒼コーポレーション https://sou-sankotsu.com/